温故知新で食べてみた

戦前、主に昭和初期の料理本や婦人誌に掲載されたレシピを、
実際に作って食べて昔の日本をプチ体験。
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蜜柑ゼリー・パイ
動画「温故知新で食べてみた ♯1がんもどきのカレー煮」
好評公開中!
http://www.youtube.com/watch?v=egN8cdnu75k
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7988039


342
監修:ドロシー・エドガース
主婦之友 昭和十年八月号 「冷(つめた)いゼリーの作り方十五種」より

これは蜜柑の果汁ゼリーをパイに流し込んで冷やし固めたもの。

ゼリーはゼリー液に蜜柑果汁を絞り、レモン汁を加えます。
パイはちょっと時代が下りますが、
主婦之友 昭和十一年五月号「苺で作つた美味しいお菓子」の
岡見道子さんのレシピを参考としました。
メリケン粉に水を少し加えて軽く捏ね、のばした後、
バタを乗せ、たたみこむように三枚に折り、麺棒で伸ばします。
この三枚に折って綿棒で伸ばすという作業を
5、6回繰り返してパイ生地を作ります。

パイ生地をパイ型に敷いて焼き、
蜜柑の実を並べ、そこに蜜柑ゼリー液をそそぎます。
固まったらアイシングで飾りつけをします。
アイシングは卵白と粉砂糖を合わせて混ぜ、
バニラエッセンスを2、3落として作ります。

出来上がり図では真ん中に
さくらんぼをちょこんと乗せているのですが、
さくらんぼを買い忘れたために(またか!)
代りにアイシングをちょこんと丸く乗せました。


で、食べてみた。


ゼリーを食べていながらパイの香ばしさを感じるという不思議な味です。
そしてパイのサクサク感とゼリーのつるつる感と
蜜柑のみずみずしさを一気に味わえるという
お得なスイーツでもあるんだけど、
どうもイマイチ味がバラバラ。

ゼリーの中に果実があると
そのごろっとした食感や味で
ゼリーはより美味しくなったりするんだけど、
これにバター味の強いパイが加わると
途端に果実の主張が一番強くなり、
ゼリーの存在がしゅるると弱くなっちゃいますね。
果実はつぶつぶにして
プチプチ食感にしてみてもいいのかな。

実はこのパイ、実際の大きさよりも
2まわりほど小さめに作ってあります。
通常の大きさをひとりで食べるのは
なかなかヘビーに思ったので、
おひとりさまサイズに変更して作ってみました。
なので、蜜柑果実の密集度が高くなって、
余計に果実の存在感が強くなっているのかも。

ちなみに前回までに登場してきた
プレイン・ケーキ」、「赤砂糖ケーキ」、
チョコレート・クッぺー」も
おひとりさまサイズに変更して
実際の出来上がりより小さめに作ってあります。

また、薄めに焼き上がったパイのサクサク感はとてもいいけど、
ゼリーの酸味のある後味とバターの後味が
うまくかみ合わない感じですね。
出来上がり図を見るとパイ生地は厚目っぽいので、
厚目に焼くことで、みんなが仲良しな味になるのかも。
アイシングはちょっとした甘味のアクセントになっています。

もしくはゼリーを少し硬めに作っても、いいのかも。
寒天ぐらいの硬さがあると食感が強くなることで存在感がより増して、
他の素材の味の押しにも強くなって、
結果、全体のバランスも良くなるんじゃないかな。

「パイの皮に蜜柑ゼリーを流してみましたが、
お味の調和といひ、その思ひつきが、
大變(たいへん)喜ばれました。
勿論、パイの皮がなければ、お好みの型に流してお作りください。」と
先生はおっしゃっています。
みなさまもたまにはこんな香ばしさを楽しめるユニークなゼリーを
試してみてはいかがでしょう。


と、いうことで


★★☆
| comments(3) | trackbacks(0) |
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こんにちは。
毎回おひとりさまサイズにされてたとは!なるほどー。
たしかに昔のレシピって量が多いですよね。
(昔の人からしたら、一人分だけ作るなんて! という感覚かもしれませんが)
いっぱいお菓子を拝見できてたのしいです。

蜜柑ゼリーパイ。
ゼリーは、アメリカの「jelly」なのかも。(アメリカ人はゼリー(ジェリー)というと、もっと固まったものをイメージするそうです(日本で、(ペクチンや寒天で)ぶりぶりしたジャムがありますがああいうやジェリービーンズのむちむちがゼリー。アメリカから来た人に「(日本で)jellyって書いてあるから買ってみたらゆるゆるだった、しかも甘くない」と言われたことがあります。)。
監修の方が、お名前からアメリカの女性のようなので、もともとイメージされてたのはそういうぶりぶりしたかんじでは。

ミカン果汁を加える、のではなく、マーマレードを作るときの煮汁(みかんの皮を煮出すとペクチンがでてきますね)を加えるといいかも。

この本は監修と製作者がちがうのかな?
当時の日本のゼリーの固さの基本イメージがわかりませんが、「ゼリー=スプーンですくって食べる固さ」を基本としていたら、ドロシーさんのレシピだと「固すぎる、これはゼリーじゃない」と感じられたか「皮を煮出す? ご家庭向けに簡単に果汁でいいでしょう」で、柔らかゼリーにアレンジされたのかも?・・・などと編集のドラマを想像しました。
| ここえ | 2015/12/29 11:30 AM |
追記です^^
ペクチンはカルシウムと結合して固まる(ゲル化)するので(牛乳と混ぜるだけのフルーチェはそれで固まる)、ドロシーさんのレシピ通りなら、ドロシーさんの出身地の水はカルシウム濃度の高い硬水かもしれません。(日本の水はカルシウムが少ない軟水が多いですね。)

蜜柑ゼリーパイから、いろんなドラマを妄想しました。失礼しました^x^
| ここえ | 2015/12/29 12:09 PM |
ここえさん

いろいろと詳しくありがとうございます!

なるほど。アメリカではもっと固まったものですか。
それだと納得がいきますね。
パイにするにはこれだと軟らかすぎるかなぁ、と
思っていたので。

監修と製作者が違うというより、
ドロシーさんと編集部の間で
なにかやりとりがあったのかな、と思います。
これとは別の婦人誌に書かれていたのですが、
先生から上がってきたレシピは一度
編集部で作ってみたそうです。
つまり、プロの作ったレシピを
素人でもちゃんと作れるかどうか試していた、と。
そこで上手くできなかったものは
例え著名な先生のものであっても返していたそうです。

『主婦之友』も同じ工程をしていたかどうかは
定かではないのですが、もしかしたら
これに似たやりとりの中で、
日本の一般家庭の趣向に合うように
修正がなされていた可能性もあるのかもしれませんね。

お水の影響も確かにありそうですね。
ほんとにこの蜜柑ゼリー・パイから
いろんなことを想像できますね。
面白いですね。

いろいろと教えてくださってありがとうございます!
どうぞ来年もいろいろ教えてくださいませ^^
それでは良いお年を。




| 山本直味 | 2015/12/31 1:25 AM |









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